アイドルになれないなら死にたい

東京ドブ川ストーリー

原付免許に落ちた話

朝の5時半に家を出て、鴻巣の免許センターまで約2時間かけていったのに、片道1000円かけていったのに、
あっけなく学科試験で落ちてしまい午前中で終了してしまった。

誕生日までに免許をとって父親にドヤ顔で見せつけるつもりだったのに。暇なら免許とれば?と言ってきた佐々木先生に顔にドヤ顏で免許を投げつけてやろうと思ってたのに。

ここでまた1000円かけて家に帰るのも癪なんだなあ、またこれが。
わざわざ労力使って来たのに免許落ちにきただけなんて本当に癪。

この道間違ってんなー、目的地は反対方向だなーと思っても、すぐそこで踵を返すのもなんか癪だから、
コンビニまで行って、「私コンビニに用があったんですよー」ってわざわざ入ってからUターンするくらいプライドが高い。
恋愛で例えると、「やっぱり無理、別れよう」と言われてそのまま別れるのも癪なので、気持ちがあまりなかったとしても復縁を迫る感じ。まあ付き合ったことなんてないから別れ話すらしたことないんだけど。そもそも免許の勉強しなかった自分がいけないのだけれど。

そんなわけで、そのまま思い切り足を伸ばして、お隣の県、群馬県まで行ってきた。
鴻巣センターはちょっと寄っただけですよー、そうですよー、本当は高崎に行きたかったんですよー」
ってな素知らぬ顔をして。

鴻巣からは家に帰るよりも高崎へ行くほうが近い。

201412-01

埼玉の南部に住む人の共通認識として、免許センターが鴻巣なのは遠すぎるってのがある。
私は埼玉の最南部に住んでいるので、実は東京の免許センターのほうが近いのだ。

改めて埼玉の面積の大きさに驚き、意外と群馬の近さを身を持って経験した。

高崎行きの電車の中で必死に「群馬 観光」と調べた。
群馬と言われた際、おもいつくのは、「だるま」「上毛かるた」「修学旅行で榛名湖に行った」くらいしかない。
私のボキャブラリーが狭いのか、群馬の観光名所が少ないのかはさておき、とりあえず高崎駅からバスで行ける範囲で観光することにした。

でもまず、観光バスがない。田舎だなあとバカにしていた会津若松でも15分おきに周遊バスが運行しているのに、高崎にはよくて1時間に一本しかない。仕方なく、だるま寺と白衣観音を天秤にかけて、タクシーで白衣観音に行くことにした。

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高崎の白衣観音は日本各地の巨大仏の中で6番目くらいの大きさを誇るもので、胎内にはいることもできる。
平日だけど、あまりに誰もいなくて、受付のおっちゃんはすぱーっとタバコを吸っていた。

胎内は計9階建てとなっており、各階に観音様や大日如来明王の像が安置されている。
エレベータやエスカレータなどはなく、すべて階段となっている。

誰もいないせいか、しんと静まり返り、自分の階段を上る音しか聞こえない。
というかめっちゃ怖い。受付まで戻って、おっちゃんについてきたもらおうかと思ったくらい怖い。安置されている像もなんか怖い。しかも気圧のせいかなんかで耳もめっちゃ変。安置されてる仏像の数々も適当に安置されすぎててめっちゃ怖い。怖さを押し切って頂上まで登るもめっちゃ怖い。高い。高いし狭いし怖い。

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東京方面はこちらって窓からなんとなく見える街並みを見て、
ああ、絶対あそこに帰ってやるって勇者みたいな気持ちになった。

白衣観音様を出ても、街まで行くバスもまだ来ないし、ちょっと歩いて洞窟観音まで行くことにした。

その道すがら、異世界へ迷い込んだかと思った。千と千尋の神隠しみたいに、本当に神隠しにあってしまったかと思った。参道にはお土産物屋さんが並んでいるのだが、店店内の奥からワイドショーの音が聞こえるのみで、店主の姿はない。だるまやら観音像やら紙風船やら万華鏡やらが店先に並んでいるが、お客さんも一人もいない。もしや、このだるまや観音像たちはすべて、姿を変えられてしまった元お客さんなんではないだろうか。

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THE昭和の街並みという感じで、確かにフォトジェニックではあるのだが、
人がいないってこんなに怖いことなんだと思った。

車道も整備されてないし、ガードレールも錆びついて倒れてしまっている。
白衣観音は群馬観光のTOPに乗っていたはずなのに、こんなにも整備されてないなんて、憤りを覚えてしまった。
駅前の市役所とか病院とか音楽施設は最新の建築といったかんじですごいかっこいいが、ちょっと中に入っただけでこんな有様。金の使い方まちがってるだろ!もっと観光に力入れろよ!排他的!だから魅力度低いんだよ!と市政に口を挟みたくなった。

歩いて30分40分くらいで洞窟観音についた。
またもや人なんていないし、チケット買おうとしたらおっちゃんが「いいんすか?いいんすか?でゅふっ」とすごい驚いた様子だった。あー、本当に人がこないんだろうなー、このおっちゃんどうやって食べてるんだろう、と逆に心配になってしまった。

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でもその洞窟観音がすごいよかった。
ダンジョン感がはんぱなかった。

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入ると小さな小道の左右のちょっとしたスペースに様々な姿形の石彫観音が現れる。
そして奥に進むと、どーんと開けた場所があり、ラスボスキター!感の数々の観音様が鎮座していた。
洞窟観音公式HP

これを逃してしまうと次は2時間後というバスのためにさくっと切り上げてしまったが、本当に素晴らしかった。
受付のおっちゃんに感謝を伝えたかったが、奥の方でタバコを吸っていたので、諦めた。

バスで駅前まで戻って来るともう夕方。上毛かるただけ買って3時間かけて帰った。
家の最寄りの駅で漫画を読みながら風風ラーメンを食べた。

もし、また免許落ちたら、次は行田市のさきたま古墳群ではにわ作りをしようと思う。