アイドルになれないなら死にたい

東京ドブ川ストーリー

「サブカルくそ婚活」に行ってきた

唯一たまに買う雑誌の、TV Bros主催(?)のサブカルくそ婚活 に行ってきた。

201505-01

ある日偶然たまたま心優しい既婚の友人が、たまたま見かけたURLを送ってくれて、たまたま私がそれを友人にコピペして送って、たまたま友人が興味を持って、たまたまその友人が行きたいとたまたま言ってきたのである。

決して行く気満々で興味ありありだったわけではない。そう、私は決して焦ってなどはいない。大事なところだ。何度でも言う。テストには出ないけど、重要なことはたくさんあるのだと学生の方にも伝えたい。そう、別に行く気などなかったのだ。

しかしだ、私を誘ってくれた心優しい友人は、「翔子に会う人絶対いそう!行こうよ!」と言ってくれているのだ。せっかくだ。
いつも踏みにじってばかりいるその友人の優しさに今回ばかりは乗っかったのである。乗っかってやったのである。

そうだ、あれだ、何事も早く経験しておくにこしたことはないではないか。
そうそう、婚活ね、いつか経験するだろうな、とは思ってたしね。
そうそう、上司にね、面白い話してとふられた時のためのネタ作りにもなるしね。

201505-02

会場へ入るなり、主催スタッフの人から小さく番号が書かれた名札を渡される。
「お名前、得意分野を書いてください。」

てっきりただのライブイベントと思っていたら結構ガチな感じなのね。
そうはっきりスタッフの人に言ったらへらへら笑ってた。こいつ童貞かな?

会場はメインフロアとバーカウンターもあるラウンジの2フロア構成となっている。
受付からメインフロアへ直行するのも、張り切ってるって思われそうでなので、ラウンジで酒を注文し、用を足し、しばらく時間をつぶした。

いざメインフロアへ行くと、長テーブルが7個くらい並べてあり、そこにアルファベットが書かれている。
名札に書かれた番号順にテーブルが指定されているのである。

が、が、ガチやんけ!!!

男4名、女4名でそれぞれのテーブルが割り振られているらしく、我々が席につくとすでに女性1名、男性1名が待機していた。
張り切っているみたいに思われるのが嫌なので、開始時間からちょっと遅れて行ったのにまだイベントは始まっておらず、人もまばらであった。
これじゃあまるで早く来て張り切っているみたいではないか!ちくしょー!

テーブルには鉛筆が置いてあり、名札へ名前と得意分野を書かなければならなかった。
得意分野?みうらじゅん根本敬丸尾末広?でも突っ込まれた質問されたらどうしよう!
そんなことを頭でぐるんぐるん考えていた。自分の好きなものにも自信が持てないなんて!私はなんてクズなの!

ここで私は0から1にはできるけど10にはできない自慢のコミュニケーション能力を発揮させる。
「得意分野なんて書きました?」と目の前に座る男性に声をかけたのだ!だ!

「音楽、映画、テレビ、お笑い、ラジオ」そんな幅広い感じでその人は書いていた。
なるほど!これなら「音楽だったらどんなジャンルがお好きなんですか?」と言った風に話もひろがりんぐだし、
コアなこと書いてひかれる心配も、突っ込まれる心配もない!なるほど!

というわけで、「音楽、漫画、お笑い、ラジオ、本、奈良」と当り障りのないことを書いた。

しばらくして司会者の登壇とともにイベントはスタート。乾杯の音頭等もなく。テーブルにはいつのまにか8名がそろっていた。
男か女かわからない佐村河内のコスプレをした三味線の演奏からイベントは突如スタート。

おかしな風景である。
皆が同じ方向を向いて、茶番の三味線に耳を傾けているのである。
途中何度も演奏者自身が首をかしげるくらい、音がはずれまくる。
まったくもっておかしな風景である。帰りたい。

佐村河内さんの演奏のあと、そのままサブカルクイズ大会へと突入。もうビールがない。ビール買いに行きたいのに。
テーブルごとにホワイトボードが置かれており、それぞれのチーム対抗戦となる。

我々のチームは好調な滑り出し、とはいかない。むしろ知っている人いんの?ってくらいサブカル知識が求められる。っていうかこれサブカル

私がとある漫画家を知らないだけで、「お前名札に得意分野漫画って書いているのにこの漫画家知らんのか!」と
同テーブルのクソ男に言われたの、約1週間経った今も根に持ってる。覚えてろよてめー。

男はやはりバカな女がいいんじゃないの?知らない子にいろいろ教えたいんじゃないの?
それで優位に立ちたいんじゃないの?俺色に染めたいんじゃないの?
なんで知らないことバカにすんの?なんだっていいじゃん!もうサブカル嫌い!ばーか!ばーか!
え!?私がかわいくないからバカにするの?かわいい子だったら手取り足取り教えこむの?
だったら勝手に浸ってろ!悦に浸ってろ!ばーか!ばーか!

これがサブカルというなら私は誓う。私はサブカルなどではない。サブカルくそガールを自称していた時期もあったが、今はただのくそガールだ。
というかサブカルってなに?メインカルチャーに対しての”サブ”なカルチャーなわけでないの?
あまり知られていないことを詳しくディープに知っているってことがサブカルチャーなの?なんなの?
ともんもんとしてしまった。怒りをぶつけたくなった。

そして私たちは勝手に二人で疲弊し、始発が出るうんと前に、ひっそりと会場を後にした。

10人くらいに連絡先を聞いたと豪語していたぴちぴちの若いかわいい男の子にすら連絡先を聞かれなかった。
我々の何がいけないというのか。
男の人に声をかけることなく、かわいい女の子を観察しては、
「かわいいけど友達にはなりたくない。いらついてしまうから。だってあのリアクション、わざとでしょ」と言っていたのがいけないのだろうか。
幕間、幕間に席を立ってはタバコを吸っていたのがいけないのか。
もしや話しかけたくてうずうずしていた男性がいたかもしれないが、我々が席をはずしていたのがいけないのか。
相手もいないのに手相占い師に恋愛の相談をしてしまうのがいけないのか。
果たして、我々の何がいけないのか。

お話してた年上の女性の方がおっしゃっていた。
「メインフロアにいるやつは全員童貞!メインフロアに入らずラウンジにずっといるやつは変わり者!」
そうか!童貞なのか!だから女性に話しかけられないのか!だから話しかけられなかったのか!そうか!

って腑に落ちない!

201505-03

始発前のラーメン屋で友人に白髪を抜いてもらった。

抜けども抜けども、次々と発見される白髪。
分け入っても分け入っても白い髪。

サブカルくそ婚活なんてと見下しながらも、ちゃんとした下着をつけて、何かを期待して、唯一最近購入した春物のガウチョパンツを履いていったのに、別段何もなかったことより、
白髪が想像以上にあったことのほうがショックなのであった。

分け入っても分け入っても青い山。
かき分けてもかき分けても白い髪。

<了>