第2回かなまら祭りレポート~やっと会えたね~
ああ!なんてロマンティックな情景!
人ごみの隙間からやっと彼が見えた。うふふ。私は彼に真っ先に気づいた。
でもどうやら、彼はまだ気づいてないみたい。嘘でしょ、私はここにいるわよ。
会いたかったわ、本当よ、嘘じゃないわ、運命ね、ずっと夢見て来たのよ、ずっとずっと会いたかったんだから。
「やっと会えたね」って初対面なのにそんな自分勝手すぎる言葉が口から飛び出しちゃいそうで怖い、我慢、我慢。
会ったことも無いのにね、不思議、私の心をつかんで離さないのはいつだってあなただった。
思っていたよりもずっと静かに、ゆっくりとしたスピードで彼は近づいてくる、私へと。人ごみの隙間から垣間見える、彼の頭、そう、亀頭。
まだかな、まだかな、かなまら、でかまら、まだだな、そうだな。
盛り上がってくる私の気持ちとはうらはら、うらすじ。
何?恥ずかしがってるの?てめえらにも一応ちんこついてるんだろ?なあ、ついてない私でも叫んでるんだからよ!
叫べよ!もっと腹の底から叫べよ!てめえらの心の叫びを魅せてくれよ!
でかまら!でかまら!
でかまら!でかまら!
担いでいらっしゃるオカマの方々に全く勢いがなかった。汗だくで化粧が落ちて来ている。ファンデーションが汗と一緒に落ちて、顔に変な模様を作っていた。
神輿の上の彼(エリザベス)はただただそっと静かに鎮座(ちん○)していた。
私はその勢いのないゆっくりなスピードのおかげであなたに見蕩れることが出来る、あなたの流線美に見蕩れる。
毒々しいピンクにすることでPOPさが演出されている。そうあなたはただのナニじゃない。
私にとってはただ存在しているだけで嬉しかった、そこに居てくれるだけで嬉しかった、会えただけでもう成仏できそうだわ。
でも、何で、なんで、人間じゃないの?なんで好きって言って抱きしめてくれないの?
だめよ、だめよ、期待なんてしちゃダメよ、私。
ただ、彼に手足が生えてたら、それはもうちんこじゃない。例え私を抱きしめることができたとしても、もうそれはちんこじゃない。もはやちんこじゃない。
期待しちゃダメっていう思いとイ・ケ・ナ・イ思いが拮抗する。
彼はそっと私の目の前を去って行った。私には気づいてくれたのかしら?
私の熱いまなざし届いたかしら。抱きしめてくれなくても、私はもういいわ。
もういいわ、帰るわ、満足なんかしてないけど、疲れたわ、人ごみに疲れたわ。超疲れたわ。