アイドルになれないなら死にたい

東京ドブ川ストーリー

いい匂いをさせよう

私は根に持つタイプである。
思い返してみたら6年ほど前の話だ。
「しょうこなんか犬の匂いがする」
と、好きな男の子の前で女友達に言われたのである。
その子にはそれ以来会っていない気がする。

もっと思い返してみれば10年前に大学の先生から
「バスタオルが臭いんじゃない?」とみんなの前でも言われた。

確かに私はいじられキャラである。そんなことを言われても基本へらへらしているのである。
でも心の中は地獄の業火ばりの怒りと見返してやろう精神であふれかえっていた。

敬愛する片桐仁も言っていた。
「いくらもののけ姫がかわいいくても、獣臭かったらドン引く」と。

「匂いは大切」という言葉に対して、
なんの効能があるのかわからない温泉、何に効くのかわからない神社の名前だけ書かれたお守り、
のような、そんな感じのイメージしかもっていなかった。

しかし匂いは大切。というよりかは臭いのはだめだ。

私が地獄の業火に焼かれながら立ち上がったのは、
かつての言葉からずいぶんと経ってからであった。

①私はまず若い女の子に絶大な人気を誇るSAVONへ行った。そして一番気に入ったジャスミンの香りのスクラブを買った。
死海の塩が使われている贅沢なバスソルト。私は使いきった。そして次にシーズン限定のも買った。

img_0946

でも、そのバスソルトはうるおい成分として油分が入っている。確かに潤う。そしてお風呂の床も潤わす。
私はお風呂で盛大に転んだ。

②もらったアロマキャンドルが変な減り方をしてしまったから細かく刻んで湯銭して
 新たなアロマキャンドルを精製した。
img_0945

我ながらかわいくできたと思ったが、
SNSに写真を投稿したら「ファンシーなゲロ」と言われた。
言いえて妙とはこのことだなと妙に納得してしまった。あと、火が付かなかった。

こうやって私はがんばった分だけ、自分を知れた。
私はちょっと馬鹿で、ちょっと不器用だと知れた。
もういい匂いはしなくたってそれだけで十分だと、自分に言い聞かせた。